高齢者の歯が欠けるのは「老化」ではありません

高齢になると歯が弱くなり、欠けやすくなる――そう考えている方は少なくありません。

しかし実際には、歯が欠ける原因は年齢そのものではなく、歯の使い方にあります。

歯が欠ける方の多くは、

• 無意識に強く噛んでいる
• 歯ぎしり・噛みしめのクセがある
• ストレスを我慢しながら頑張っている
• まだまだ元気で活動量が多い

つまり、歯が欠けるのは「弱ったから」ではなく、
元気だからこそ力をかけすぎているケースも多いのです。

ストレスと歯──歯ぎしりは心のサイン

ストレスが増えると、体はさまざまな形で反応します。

その中でも代表的なのが歯ぎしり・噛みしめです。

よく使われる言葉に「歯をくいしばって頑張る」がありますが、

歯科的にはこれは正しいようで間違いです。

本当に理想的なのは、
「歯をくいしばらずに頑張れる状態」。

長期間のストレスや我慢が続くと、歯は確実に消耗していきます。

• 歯がすり減る
• 歯が欠ける・割れる
• 詰め物や被せ物が壊れる
• 顎の痛みや違和感が出る

「よく噛む」は、速く強く噛むことではありません

「私は硬いものをよく噛んでいます」

そう言われる方は多いのですが、ここにも大きな誤解があります。

本当の意味での「よく噛む」とは、

• ゆっくり
• 優しく
• 回数を多く

この3つがそろった噛み方です。

特に早食いの方は注意が必要で、

速く強く噛むクセがあると、歯に一瞬で大きな力がかかり、
歯折（歯が欠ける・割れる事故）が起こりやすくなります。

ストレスが歯も顎もダメにする

「ストレスが地球をだめにする」

そんな印象的なフレーズが、森高千里さんの歌にあります。

ストレスを発散するために速く噛み、

ストレスを我慢するために噛みしめる。

これでは歯も顎も休む時間がありません。

日常で意識してほしいのは、
「ゆるゆる口元」です。

• 口は軽く閉じる
• 歯と歯は基本的に触れない
• 肩や顎の力を抜く

これだけでも、歯へのダメージは大きく減らせます。

歯を欠けさせないためのポイントまとめ

• 高齢者の歯が欠ける原因は「老化」ではない
• ストレスは歯ぎしり・噛みしめを増やす
• 「歯をくいしばって頑張る」は歯にとって危険
• よく噛むとは「ゆっくり・優しく・数多く」
• 歯は基本、当てない・触れないのが長持ちのコツ

「何もしていないのに歯が欠けた」と感じた方ほど、

噛み方や日常の力の入り方を一度見直してみてください。