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健康診断の血糖値はインチキ!? 本当に危険なのは「健診後の10ヶ月」だった

2025年12月9日 大名歯科院長
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◆ 年1回の血糖検査では糖尿病は防げない?

「健診で血糖値もHbA1cも正常だから安心」――そう思い込んでいませんか?

実は、毎年の健康診断では血糖値が正常でも、ある日突然「糖尿病です」と診断されてしまう人が少なくありません。

なぜ、このような「見逃し」が起きるのでしょうか。

◆ 空腹時血糖値は“非日常状態”の数字にすぎない

多くの健康診断では、前日の夕食以降、長時間の絶飲食をして「超空腹状態」で採血をします。

しかし、この状態は日常生活とは大きくかけ離れた、いわば非日常の特別モードです。

そのため、そこで測った空腹時血糖値は、ふだんの食事や生活での血糖の動きを十分には反映していません。

さらに、健診に遅れそうになって慌てて会場まで走ったり、緊張していたりすると、一時的に血糖値が高くなることもあります。

つまり、健診の一回きりの数字に一喜一憂しても、本当の健康状態は見えてこないのです。

◆ HbA1cも「直前だけ頑張る」と、いくらでも良く見えてしまう

HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、赤血球のヘモグロビンにどれくらいブドウ糖がくっついているかを示す指標で、過去およそ2か月間の平均的な血糖状態を反映すると言われています。

一見、とても信頼できそうな数字ですが、ここにも落とし穴があります。

多くの人は、健診が近づいてくると次のような行動をとりがちです。

  • 少しだけ甘いものや間食を控える
  • ご飯の量を減らしてみる
  • 体重を落とそうと急に頑張る

つまり、健診の1~2か月前だけ、健康的な食生活を「演出」してしまうわけです。

そして、健診が終わった瞬間から残りの10か月は、また元通りの食生活に戻ってしまう……。これでは、HbA1cの数字だけよく見えても、実際の一年間の血糖コントロールはボロボロ、ということになりかねません。

◆ 本当に大切なのは「血糖の乱高下」を起こさないこと

糖尿病予防で本当に大切なのは、健康診断の紙に印刷される数字ではなく、日常生活で血糖値の急激な乱高下を起こさないことです。

たとえ空腹時血糖値が少し高めでも、体を動かした直後に全身へエネルギーを送るための一時的な上昇であれば、大きな問題にはなりにくいケースもあります。

むしろ、次のような生活の方がずっと危険です。

  • 清涼飲料水をちょこちょこ飲む
  • アメやキャンディを常に口に入れている
  • お菓子やケーキをダラダラ食べ続ける
  • 果物だから大丈夫と信じて、何度もつまみ食いする

これらはすべて、血糖値を何度も急上昇させ、乱高下を繰り返す原因になります。

◆ 「血糖が上がりやすい飲食」を“回数多く”しないこと

糖尿病にならないために、まず見直したい飲食習慣は次の通りです。

  • 果糖ブドウ糖液糖が含まれる清涼飲料水はゼロにする
  • アメやキャンディも、できれば完全に排除する
  • お菓子・ケーキなど「砂糖たっぷり」の甘いものは、食べるなら食事の最後にまとめて
  • フルーツも「ヘルシーだから」と過信せず、間食ではなく食後に少量にとどめる
  • 食事の原則は、繊維質の多いもの(サラダ・野菜・海藻など)から食べる
  • 味見・つまみ食い・ちょい飲みなど、飲食回数を増やすクセをやめる

ポイントは、血糖値を跳ね上げる回数を減らすことです。

「何を食べるか」だけでなく、「いつ、どれくらいの頻度で口に入れているか」が、血糖コントロールと糖尿病予防に大きく関わっています。

◆ 実はこの生活習慣は“虫歯予防”ともまったく同じ

ここまで読んで、「あれ? どこかで聞いた話だな」と感じた方もいるかもしれません。

そうです。これはそのまま虫歯予防の基本とも一致しています。

  • 砂糖や甘いものをダラダラ口に入れない
  • 飲食回数を増やしすぎない
  • 間食やちょい飲みを減らす

これらは、糖尿病予防と虫歯予防の共通ルールです。

血糖値の乱高下を防ぎ、口の中を酸性に傾ける時間を減らすことで、全身の健康とお口の健康を同時に守ることができます。

◆ 結論:健診の「正常値」に安心せず、365日の食卓を見直そう

年に一度の健診で、血糖値やHbA1cが正常範囲に入っていたとしても、それだけで安心してしまうのはとても危険です。

本当に大切なのは、次の3つです。

  • 血糖値を急激に上げる飲み物・お菓子を日常から減らすこと
  • 味見・つまみ食い・ダラダラ食べをやめて、飲食回数をコントロールすること
  • 一年を通して、血糖値の波を小さく、平均をやや低めに保つ生活を続けること

健康は検査室でつくられるのではなく、毎日の食卓でつくられます。

糖尿病も虫歯も、「病気になってから治す」のではなく、「ならない生活習慣」を一緒に身につけていきましょう。


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