「歯医者は虫歯を治せない!?」歯科医が語る“本当の虫歯治療”の話
「歯医者は虫歯を治せない!?」歯科医が語る“本当の虫歯治療”の話
虫歯で歯科医院に行くと、多くの方が「治してもらった」と感じます。しかし実際に行われているのは、虫歯部分を削り取り、歯ではない人工物を詰める“外科処置”です。つまり、元の歯そのものが再生しているわけではありません。
もちろん、詰め物を入れることで「穴が浅くなる → 食べ物が詰まりにくくなる → 再発リスクが少し減る」というメリットはあります。ただしそれは、あくまで“わずかにリスクを減らす”程度です。劇的に虫歯の再発を防げる魔法の治療ではありません。
ですから、虫歯が見つかったからといって、災害級に慌てる必要はありません。まずは落ち着いて状況を理解することが大切です。
学校検診で「虫歯あり」…テンションが下がる理由
学校検診の結果で「C(虫歯)」と書かれてくると、まるで召集令状のようにテンションが下がってしまいますよね。
- 「早く歯医者に行って治さないと、どんどん大きくなるのでは…」と焦る方
- 「痛くないし、忙しいからそのうちでいいか…」とつい後回しにする方
どちらの気持ちもよく分かります。しかし、その前に知っておいてほしい大切なポイントがあります。
虫歯治療は「外科形成治療」です
虫歯が見つかったとき、歯医者が行うことはシンプルです。虫歯になった部分を削り取り、何か別の材料(レジン、金属、セラミックなど)で形を補うことです。
イメージしやすいように、あえて極端な例えをすると……
ひざの調子が悪くなったとき、本来なら「ひざそのものの回復」を目指したいですよね。ところが虫歯の場合は、悪くなった歯を元通りに治すというより、「悪い部分を取り除いて人工的に形を整える」外科的な処置です。
つまり、
虫歯治療 = 歯を元通りに治す医療ではない
ということを、一度しっかり知っておいていただきたいのです。
「削って詰めれば安心」ではない理由
虫歯治療を行うと、たしかに
- 穴が浅くなる
- 食べカスが溜まりにくくなる
- 結果として、再発リスクが少しだけ下がる
といった効果があります。しかし、それでも虫歯の再発リスクがゼロになるわけではありません。同じ場所や隣の歯に、再び虫歯ができてしまう方も少なくありません。
だからこそ大切なのは、
- 「どう治すか」より「どうやって虫歯を作らないか」を考えること
- 虫歯ができた原因=飲食回数・だらだら食べ・甘い飲み物の習慣などを見直すこと
歯医者は、虫歯の「修理」はできますが、本当の意味での「治癒」は、あなたの日常生活(食習慣・唾液・歯みがき・ストレス管理)によってつくられます。
虫歯が見つかっても、まずは落ち着きましょう
繰り返しになりますが、虫歯で歯医者に行くと、何かを詰めることで穴を浅くし、食べカスを溜まりにくくし、再発リスクをほんのわずか減らしてくれます。これは大切な処置ですが、「今すぐ行かないと大変なことになる!」というケースばかりではありません。
痛みが強い、急激にしみる、顔が腫れているなどの緊急性が高い場合を除けば、多くの虫歯は、しっかり説明を受け、治療計画を相談し、スケジュールを組んでからでも十分間に合います。
大事なのは、
- 慌てて適当な治療を選ぶのではなく、冷静に情報を集めること
- これを機に、虫歯を二度と作らない生活習慣を一緒に考えること
当院では、虫歯を削る・詰めるだけでなく、「なぜその虫歯ができたのか」を一緒に考え、再発しにくいお口の環境づくりをサポートしています。学校検診や職場の検診で虫歯を指摘された方も、まずは落ち着いてご相談ください。
「歯医者は虫歯を治せない」というフレーズはショッキングですが、「治す力」を持っているのは、実はあなた自身の毎日の選択なのです。
Author Profile
- 大名 幸一 Koichi Omyo
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