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2月5日WBSトレたま紹介「歯磨きロボット」は買いか?歯科医が教える3つの落とし穴

2026年2月6日 大名歯科院長
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こんにちは、大名歯科です。

2月5日に放送されたテレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」の人気コーナー「トレたま」にて、全自動の歯磨きロボットが紹介され、大きな話題となっています。

「口にくわえるだけで、1分間で歯磨きが完了する」
「価格は3万円台」

一見すると、忙しい現代人にとって夢のようなアイテムに見えます。しかし、私たち歯科医療のプロの視点から見ると、「少し立ち止まって考えてほしい点」がいくつかあります。

今回は、話題の歯磨きロボットについて、テレビでは語られなかった「歯科医視点のリアルな懸念点」を解説します。

1. 「7割の人が使える」=「7割の人が完璧に磨ける」ではありません

番組では「日本人の顎の形状データを元に、7割の人が使用できる」と紹介されていました。しかし、この数字には注意が必要です。

  • 口の中は指紋と同じくらい個性的です
    歯並び、顎の大きさ、歯の傾きは一人ひとり全く異なります。「マウスピースが入る(装着できる)」ことと、「ブラシが適切な角度で歯と歯茎の境目に当たる」ことは全く別の話です。
  • 磨き残しのリスク
    既製品の規格に合わない「残り3割」の人はもちろん、対象の「7割」の人であっても、ロボットが完璧にフィットするとは限りません。ブラシが届かない部分は、結局あとから手磨きが必要になります。

2. 「1分で完了」の裏にある落とし穴

「たった1分で歯磨きが終わる」という時短メリットが強調されていました。確かに、口に入れている時間は1分かもしれません。しかし、トータルの時間はどうでしょうか?

  • ロボット自体の「歯磨き」が必要です
    複雑な構造の機械を口に入れた後、その機械自体を洗浄・乾燥させる手間を考えてみてください。カビや細菌の繁殖を防ぐためのメンテナンス時間は、普通の歯ブラシをサッと洗う時間より遥かに長くかかる可能性があります。
  • 「当たった場所」しか磨けません
    歯垢(プラーク)は粘着性が強く、ただブラシが触れるだけでは落ちません。適切な圧で細かく動かす必要があります。ロボット任せにした結果、磨けているのは「歯の表面」だけで、最も重要な「歯と歯の間」や「歯周ポケット」が放置されてしまう恐れがあります。

3. 3万円のロボット vs 300円の歯ブラシ

最後に、コストパフォーマンスについて考えてみましょう。このロボットの価格は約3万円台とのことです。
これを、歯科医院で推奨している高品質な歯ブラシ(1本300円)と比較してみます。

  • 3万円あれば、歯ブラシが100本買えます
    月に1回、新品の歯ブラシに交換したとしても、100ヶ月=約8年4ヶ月分の歯ブラシ代に相当します。
  • 機械の寿命は9年ももちますか?
    精密機械である以上、バッテリーの劣化や故障のリスクは避けられません。また、替えブラシ(消耗品)のコストも別途かかってくるでしょう。

「3万円の機械を数年で買い替える」のと、「毎月300円で常に清潔でコシのある新品歯ブラシを使う」のとでは、どちらがお口の健康にとって投資効果が高いでしょうか。


歯科医からのまとめ:テクノロジーは補助として考えよう

新しい技術が開発され、デンタルケアに関心が集まること自体は素晴らしいことです。介護の現場や、手が不自由な方にとっては、こうしたロボットが大きな助けになる可能性もあります。

しかし、一般の方が「楽をするため」だけに導入するには、まだ課題が多いのが現状です。

  1. 基本は「手磨き」で丁寧に
  2. 「フロス」や「歯間ブラシ」を併用する
  3. 定期的に歯科医院でプロのクリーニングを受ける

現時点では、これが最強かつコスパ最高の予防法です。

話題のグッズに飛びつく前に、まずは今の歯磨き習慣を見直してみませんか?
大名歯科では、あなたの歯並びに合った最適な歯ブラシの選び方もアドバイスしています。お気軽にご相談ください。


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