噛める歯が無くなると

よく、「歯が無くなると一気に老ける」と言いますが、それは何も見た目に限ったことではありません。歯が無くなると、実際に脳や全身の老化が早まります。
歯が無くなると、噛み合わせのバランスが崩れ、噛む力が弱くなります。噛む筋肉は口の周りだけでなく首から背中にわたって12種類もあります。筋肉は連携して動くことで強く働いており、しっかり噛むと、大腿やふくらはぎの筋肉も活性化されることが確認されています。逆に、噛む力が弱くなると全身の筋力も低下し、体の老化を加速させます。
また歯が無くなると、噛む力が弱くなることで脳への刺激が少なくなります。刺激が少なくなれば脳細胞の数も減少し、脳の老化は加速します。そのため歯の喪失は、認知症の危険因子としても認識されています。
このように全身と脳のアンチエイジングには若いうちから十分な咀嚼機能と口腔機能を保つことがとても大事だということがわかります。つまり、歯が無くなった場合は、放っておかずに治療をする必要があるわけです。しかし、その補う治療方法も様々で、それぞれの治療方法で、口腔機能つまり噛む力には違いが出てきます。
無くなった歯を補うのに「入れ歯」は有効な手段です。入れ歯を装着した場合、咬合力は歯がない時の約1.24倍になります。しかしこれは本来の咬合力(天然歯の咬合力)のおよそ半分に過ぎません。
これに対して「インプラント」の場合、咬合力は歯がない時の約1.89倍になります。
つまり、咬合力に関して言えば入れ歯よりもインプラント補綴のほうが有効です。これらの数値はあくまでも平均値で、もちろん治療成果には個別性が大きくあります。かかりつけの歯医者さんと相談しながら、ご自身にとって一番よい口腔状態を長く保てるようにして、脳と全身の健康も維持していきましょう。
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- 大名 幸一 Koichi Omyo
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