“よく噛む”は危険!? その噛み方、むしろ歯を壊します
“よく噛む”は危険!? その噛み方、むしろ歯を壊します
「よく噛む=硬い物を噛む」は誤解です
「噛むことは体に良いから、硬い物をしっかり噛むようにしています」そんな声をよく耳にします。確かに、噛むこと自体は健康にとって重要です。しかし――
「速く・強く・いきなり一番奥歯で噛む」という噛み方は、歯にとって非常に危険な習慣です。
とくに、硬い食材をガチッと奥歯で噛むと、歯や歯根に瞬間的な強い衝撃が加わり、歯折(歯が割れる事故)を引き起こすことがあります。噛む力は体重以上ともいわれるほど強力です。食べ方ひとつで歯を壊してしまうことは、決して珍しくありません。
本当の「よく噛む」とは? 速く・強くではありません
患者さんから「私、よく噛んでいますよ!硬い物も噛んでいます!」と言われることがあります。しかし、この“よく噛む”の意味を誤解されている方が非常に多いのです。
正しい「よく噛む」とは――
- 速く噛むことではない
- 強く噛むことでもない
- ゆっくり・優しく・回数多く噛むこと
特に、早食いの方は噛むスピードが速く、知らないうちに強く噛み込むクセがあります。このパターンが、歯が割れる典型例です。
「痛い」と思ったときは、すでに事故が起きています
噛んだときに「痛っ!」と感じた瞬間、その時点で上下の歯は完全に衝突事故を起こしています。
交通事故と違い、咀嚼は自分自身が上下の歯をコントロールできます。つまり、本来は歯の事故はすべて防げるはずのものです。
歯を守るために大切なのは、噛むスピードと強さをコントロールすることです。
🚗 「徐行咀嚼」=スローダウンして噛むこと
- いきなり奥歯で噛み込まない
- 最初は手前の奥歯で軽く噛む
- だんだん噛みしめ位置を奥へ移動する
- ゆっくり優しく、多く噛む
これだけで、歯へのダメージは大幅に軽減できます。
まとめ:今日からできる「安全な噛み方トレーニング」
次のような噛み方は、歯を傷めるリスクが高くなります。
- ❌ 速く噛む
- ❌ 強く噛む
- ❌ いきなり一番奥で噛む
- ❌ 硬い物をガチッと噛む
代わりに、次のポイントを意識してみてください。
- ⭕ ゆっくり噛む
- ⭕ 優しく噛む
- ⭕ 数多く噛む
- ⭕ 手前の奥歯からスタートする
「よく噛む」を間違えると歯を壊します。「よく噛む」を正しく行えば、噛む力・顎の筋肉・唾液分泌が向上し、むし歯・歯周病・老化予防にもつながる最高の「お口トレーニング」になります。
毎日の食事で、ぜひ「徐行咀嚼」を意識してみてください。
Author Profile
- 大名 幸一 Koichi Omyo
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